加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和2年司法試験設問1(1)で本件計画変更の処分性を否定する一方で本件申出の拒絶の処分性を肯定する答案は、論理矛盾であるとして低い評価をつけられるのか

令和2年司法試験行政法設問1(1)では、農振法13条に基づく農業振興地整備計画の変更(以下「本件計画変更」とします)の処分性と、本件計画変更を求める本件申出に対する拒絶の処分性が問われています。私は、本件計画変更の処分性を否定する一方で、本件申出の拒絶の処分性を肯定してしまいました。論理矛盾であることは明白ですが、会議録に「本件計画の変更に処分性を認めることができたとしても、当然に、それについての申出の拒絶に処分性が認められることにはなりません」、「本件計画の変更の段階での抗告訴訟による救済の必要性も、検討してください」などとあるため、このように書いてしまいました。やはり低い評価になると思われますか?

確かに、本件申出の拒絶に処分性を認めるということは、本件申出が本件計画変更という許認可等の処分を求める法令に基づく申請に当たることを前提にすることになりますから、本件計画変更の処分性を否定する一方で本件申出の拒絶について処分性を肯定することは論理的に矛盾すると思います。

しかし、司法試験論文式では原則として加点方式が採用されており、積極的に減点されるというのはかなり稀です。

会議録では、本件申出の拒絶について、本件運用指針で明記されているとどまることに着目して法令上の根拠の有無(公権力性の一要素)を論点として論じることが誘導されており、本件計画変更の処分性に関する検討内容と関連付けて論じることは誘導されていません。

それどころか、会議録では、「本件計画の変更に処分性を認めることができたとしても」とあるため、本件計画変更の処分性を否定したとしても本件申出の拒絶の処分性を検討する際には本件計画変更の処分性が認められると仮定して論じることが予定されていると思われます。

そのため、本件計画変更の処分性を否定する一方で、本件申出の拒絶の処分性を肯定する答案については、「仮に本件計画変更の処分性が認められる場合は」という仮定をした上で本件申出の拒絶の処分性を肯定しているというように、善意解釈して採点されることになると思われます。

したがって、本件計画変更の処分性を否定する一方で、本件申出の拒絶の処分性を肯定しても、特に減点も失点もないと思います。

2020年09月28日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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