加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

明示的一部請求における過失相殺の方法に関する議論の射程

明示的一部請求における過失相殺の方法に関する議論(外側説、按分説、内側説)は、過失相殺のみならず、債務の消滅原因一般(例えば、弁済や消滅時効)にも妥当するのでしょうか。 また、さらに広げて、債務の発生原因にも妥当しますでしょうか。

最二小判平成10・6・12・百80は、外側説を採用したと理解されている最三小判平成6・11・22・百113を引用し(「民事訴訟法判例百選」第5版・事件80解説)、債務の消滅原因を相殺に限定することなく「一個の金銭債権の数量的一部請求・・の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。・・債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して・・」という外側説を前提とした抽象論(勅使川原和彦「読解  民事訴訟法」初版214頁参照)を述べているため、相殺以外の債務消滅原因についても外側説を採用していると思われます。そうすると、外側説・案分説・内側説の議論は、相殺以外の債務消滅原因にも妥当しますし、債務消滅原因ごとに学説が異なるということにもならないと思われます。

なお、債務の発生原因にまで妥当するのかは、定かではありません。

2020年09月09日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ