加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

論文対策の改善策

先日司法試験を受けた法科大学院既習3年生の者です。

これまで論文については以下のように勉強しておりました。(短答はひたすら過去問を回していました。)

法科大学院入学前
アガルート総合講義一周
  ↓
重問(2021版)をひたすら繰り返し(各問題である程度の答案構成と論証が浮かぶまで)

法科大学院入学後
重問を復習しつつ、授業をこなす(正直民法と商法以外はその場しのぎでほぼ身についてないと思います)
  ↓
加藤ゼミナールの司法試験過去問講座、予備試験過去問講座で過去問演習を繰り返す(各問題である程度の答案構成と論証が浮かぶまで)

正直今年の司法試験の手応えは五分五分くらいで(特に憲法、行政法、商法、民事訴訟法が手応えがなかったです)、もしダメだった場合にこれ以上何を勉強すべきか見えていない状況です。

改善案としては
①問題演習ばかりで基本書やテキストを複数回通読できていないので、メジャーな基本書を各科目一冊ずつ通読する又は総まくり講座の受講とテキストを通読(問題演習をしないと知識として使えるようになかなかならなかったため、こういった通読は最初にアガルート総合講義を一周したのみでした)
②重問のバージョンが古いので買い換える又は加藤ゼミナールの基礎問の最新版を回す
③ローの授業で使った民法総合事例演習や会社法事例演習を重問や過去問くらいの精度まで仕上げる
④判例から考える憲法、事例研究行政法、事例演習刑事訴訟法、民事訴訟法の旧司法試験過去問等の定評のある演習書をやる

等があるのかなと考えていますが、もしよろしければこれを優先的にやった方が良い(上記にあげたもの、又はそれ以外も含め)などのアドバイスがあれば頂けますと幸いです。

お問い合わせ頂きありがとうございます。

気になるのは、司法試験過去問講座の到達点が「各問題である程度の答案構成と論証が浮かぶまで」という点です。

事例ごとの答案構成(条文、論点の組合せを含む解答筋みたいなもの)と論証を想起できるようになるというのは、重問や基礎問といった短文事例問題演習の到達目標であって、司法試験過去問では、どう書いたか(科目・分野・論点ごとの点の入る書き方、現場思考問題の対処法)、問題文の読み方といった、もう一歩先の深い分析をする必要があります。まずは、過去問からこうしたことまで学べているのかを確認して頂けたらと思います。

その上で、改善案についてですが、問題演習中心の勉強だと、どうしても体系的な知識が身に付きにくいですし(それゆえに、深い理解が伴わないですし、応用というか融通の利かない汎用性の低い知識にとどまってしまいがちです)、出題範囲をカバーしきれないのでインプットの穴が生じます。したがって、著名な基本書1冊、又は総まくり講座で全体的なインプットをする必要があると思います。おそらく、インプットをちゃんとやっていないからこそ、重問や過去問を周回する目標の1つに「論証を想起できること」が挙がってしまっているのだと思います。なので、一番やるべきは①であると考えます。

②ないし④は、学習状況などを踏まえると奨励できません。闇雲に物量で押し切ろうとしている感じがします。これでは、根本的な解決にならないですし、全文が中途半端になってしまい身に付かないと思います。

少し厳しいアドバイスになってしまったかもしれませんが、参考にして頂けますと幸いでございます。

2024年09月02日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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