加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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窃盗罪における財産的損害の要否

お世話なっております。
基礎問題刑法53問で詐欺罪は成立しないが窃盗罪の間接正犯が成立するとされています。
その理由は、詐欺罪における財産的損失の認定は欺罔行為の認定内に含まれており本文においては損失は認定できないが、窃盗罪においては財産的損失は構成要件ではない?から成立するという理解でよろしいでしょうか。
本文の場合代金支払がありA店に損失がないため窃盗罪が成立するか疑問に思いました。

基礎問題刑法第53問は、16歳の甲がコンビニにおいて年齢を偽り18歳未満の者への販売が法令上禁止されているわいせつ雑誌を購入したという事案に関するものです。

窃盗罪においては財産的損害は独立の要件とされていませんが、財産的損害という観点から説明するのであれば、次のようになります。

窃盗罪は個別財産に対する罪であり、客体である財物の喪失自体により法益侵害(窃盗罪における財産的損害)が基礎づけられます。本権説からは、所有物の占有の喪失自体により窃盗罪における財産的損害が基礎づけられ、占有説からは、自己占有物の占有喪失により窃盗罪における財産的損害が基礎づけられます。

店員を騙して品を購入する事案では、商品の占有の喪失自体により窃盗罪における財産的損害が基礎づけられますから、代金が支払われていても、窃盗罪における財産的損害が認められます。

したがって、窃盗罪の成立を認めることには何らの問題もありません。

2024年01月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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