加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

司法試験の採点実感との向き合い方

お世話になっております。早速ですが、答案作成についての質問です。
司法試験採点実感のあてはめの箇所について、「評価は相対的に低くなる」と記載されている答案をよく書いてしまいます。これの意味として、試験委員が評価する答案と比較して相対的に評価されない(点がつかない)だけなのか全体として相対的に評価されていないのかどちらと解釈すればよいでしょうか。
また、どこまで採点実感の答案に対する評価を気にすればよいでしょうか。
具体的な指針の公開もないままの質問となり恐縮ですがご回答よろしくお願いいたします。

司法試験の採点実感における「評価は相対的に低くなる」という指摘は、多義的であり、超上位答案を比較対象としていることもあれば、500番前後の中位答案を比較対象としていることもあります。また、よほど初歩的なことでない限り、「評価は相対的に低くなる」という指摘を受けている論述をしても、不合格答案(1500番以下)になることはありません、それくらい、司法試験の採点実感における要求水準は高いです。

上記からも分かる通り、司法試験の採点実感では現実離れした指摘がなされることが少なくありません。また、「不良の答案の例」として挙げられている論述をしたからと言って当然に不良の水準になるわけではなく、「当該配点項目に限り、不合格水準となり得る」、「不合格答案における論述の一例」という程度の意味にとどまります。実際に、答案全体の一部に「不良の答案の例」として挙げられている論述をしている箇所があっても、1桁~2桁前半の評価を得ている超上位答案もたくさんあります。

したがって、司法試験の採点実感とは適度に距離を保つ必要があります。特に、当該論点に固有の事柄については、現実離れした難しい指摘がされることが多いので、注意しましょう。

法律要件を一つひとつ認定する、この要件は当てはめに入る前に「…」という定義・規範を示すべきである(ex.契約不適合責任における「品質」に関する「契約の内容」の当てはめにに先立ち、「品質」に関する「契約の内容」を確定する際の判断基準を示すなど)、この分野ではこういった流れで答案を書く(ex.原告適格など)、問題文のヒントに着目して(ex.憲法、行政法)…といった、「汎用性が高く、かつ、基本的なこと」から優先的に身に付けましょう。

参考にして頂けますと幸いです。

2023年05月03日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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