加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

権利主張参加の非両立性要件

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権利主張参加の要件(民訴法47条1項後段)である、参加人の請求が本訴の請求と論理的両立し得ない関係にあることについては、①狭義の訴訟物の次元でのみ判断する見解と、②判決内容の実現可能性の次元まで含めて判断する見解があります。

①は、双方の請求が実体法上両立するか否か、換言すると、双方の請求が裁判上認容される余地があるか否かにより非両立性を判断します。

例えば、不動産二重譲渡の事例において、第一譲受人Xの譲渡人Yに対する債権的登記請求権と、第二譲受人Zの譲渡人Yに対する債権的登記請求権は、実体法上相互に両立(成立)し得るものであるから、非両立性は認められません。

②は、請求の趣旨の次元での非両立性を判断する見解とも呼ばれるものであり、双方の請求が裁判上認容される可能性があっても、それぞれの認容判決の内容が実現される可能性がないのであれば非両立性を認めるとする見解です。

上記事例では、仮に双方の請求が裁判上認容されても、一方の譲受人に対して移転登記がなされれば、他方の譲受人の債権的登記請求権は後発的履行不能により否定される(民法412条の2第1項)ことになるため、それぞれの認容判決の内容が実現される余地はありません。

①と②は、双方の請求が裁判上認容される可能性がない場合に非両立性を満たすという点で共通します。①と②の対立が顕在化するのは、双方の請求が裁判上認容される可能性はあるが、それぞれの認容判決の内容が実現される余地がないという場合です(①では非両立性否定、②では非両立性肯定)。

以上につき、リークエ民事訴訟法第4版584~585頁、重点講義民事訴訟法[下]第2版補訂版504~505頁参照。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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