弾劾証拠には様々なパターンがあります。
以下では、①328条1項の弾劾「証拠」が自己矛盾供述を要証事実とする証拠に限定され(限定説)、かつ、②自己矛盾供述の存在の立証には厳格な証明を要するから供述録取書については録取過程の正確性を担保するために原供述者の「署名若しくは押印」が必要であるとする判例(最三小平成18年11月7日・百85)の立場を前提として、弾劾証拠の例(パターン5は否定例)を取り上げます。
他にも回復証拠と増強証拠もあります。
試験本番で迷わないように、出題されそうなパターンは事前におさえておきましょう。
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【パターン1】
A証言 「甲がVを殺害するのを見た」
Aの供述書 「乙がVを殺害するのを見た」
Aの供述書は、Aの自己矛盾供述の存在自体を要証事実とするから、伝聞証拠には当たらず、328条の弾劾「証拠」として証拠能力が認められる。
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【パターン2】
A証言 「甲がVを殺害するのを見た」
Aの供述録取書 「乙がVを殺害するのを見た」
Aの供述録取書は、Aの自己矛盾供述の存在自体を要証事実とするものであるが、328条の弾劾「証拠」として証拠能力が認められるためには、録取過程の正確性を担保するためにAの「署名若しくは押印」が必要。
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【パターン3】
A証言 「甲がVを殺害するのを見た」
Aの録音テープ 「乙がVを殺害するのを見た」
Aの録音テープは、Aの自己矛盾供述の存在自体を要証事実とするものであり、かつ、録音の正確性は担保されているから、Aの「署名若しくは押印」の有無にかかわらず328条の弾劾「証拠」として証拠能力が認められる。
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【パターン4】
A証言 「甲がVを殺害するのを見た」
B証言 「Aが『乙がVを殺害するのを見た』と言っていた」
Bの証言の要証事実は、Aの自己矛盾供述の存在自体を要証事実とするものであるから、伝聞証言には当たらず、328条の弾劾「証拠」として証拠能力が認められる。
なお、本当にAが『乙がVを殺害するのを見た』という自己矛盾供述をしていたのかという意味で、Bの供述過程の正確性・真摯性が問題となるが、これはBの公判廷供述の正確性・真摯性が問題となっているにすぎず、この点は公判廷における反対尋問等により吟味・検討されるべきものだから、B証言の伝聞証拠該当性を基礎づけるものではない。
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【パターン5】
A証言 「甲がVを殺害するのを見た」
Bの供述書 「乙がVを殺害するのを見た」
Bの供述書は、他者矛盾供述を内容とするものであるから、限定説からは、328条の弾劾「証拠」としては証拠能力が認められない。
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