法的三段論法とは、本来は、「法規の適用において用いられる三段論法」を意味します。
例えば、甲の乙に対するについて横領罪(刑法252条1項)の成否が問題となっている場面では、
大前提:「自己の占有する他人の物を横領した者」には横領罪が成立する
小前提:甲の行為等の具体的事実
結 論:甲についての横領罪(刑法252条1項)の成否
となります
大前提・小前提・結論を上記のように整理すると、「自己の占有」、「他人の物」及び「横領」について規範を定立しなくても、法的三段論法に従った答案になるように思えます。
しかし、司法試験・予備試験(さらには、法律科目の論文試験全般)では、「自己の占有」、「他人の物」及び「横領」といった法律要件について、規範を定立した上で、事実を摘示・評価して、その充足性を検討することが、法的三段論法に従った答案であると理解されています。
つまり、
大前提:法律要件ごとの規範
小前提:甲の行為等の具体的事実
結 論:法律要件ごとの該当性
という法律要件ごとの小さな法的三段論法にも従って答案を書く必要があるわけです。
私は、便宜上、(1)本来の意味における法的三段論法を「大きな法的三段論法」、(2)法律要件ごとの法的三段論法を「小さな法的三段論法」と呼んでいます。
では、「大きな法的三段論法」に従った答案というためには、横領罪の成立要件を頭出しする必要があるかというと、それは不要です。再現答案集で超上位答案の書き方を確認してみましょう。犯罪の成立要件などの法律要件は、条文にそのまま書かれているからです。
これに対し、法律要件ごとの「小さな法的三段論法」に従った答案というのためには、原則として、法律要件の規範を定立する必要があります。法律要件ごとの規範は条文に書かれていないため、答案で明示しないと、採点者において大前提としていかなる規範を前提にしているのかが分からないからです。
このように、論文試験で法的三段論法における「大前提」として示すことが要求されているのは、法律要件ごとの「小さな法的三段論法」における法律要件ごとの意味としての規範だけであり、「大きな法的三段論法」における大前提である法律要件を頭出しすることは、法律要件の整理が解釈に委ねられているなどの事情がない限り、原則として不要です。
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