加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

論文試験における法令名の表記の仕方

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論文試験における法令名の表記方法はいくつかありますが、試験本番で迷わないようにし、かつ、極力無駄な記述を減らすために、効率的な表記方法を決めておきましょう。

✓法令の正式名称を書くべきか

✓法令の正式名称を飛ばしていきなり略称を用いていいか

✓法令の略称も飛ばしていいのか

✓複数の法令が登場する場合において複数の法令をどのように表記するべきか

基本7科目では、公法系以外では、一つの法律しか登場しないことが多いです。その場合、一番最初には「民法〇条」「会社法〇条」「民事訴訟法〇条」…というように法律の正式名称を表示するべきですが、それ以降は、「民法〇条(以下、法典名を省略する)」などと書くことなく、いきなり法令名を省略して「〇条」と書いて構いません。

問題は、行政法のように複数の法令が登場する場合です。

多くの場合は、行政事件訴訟において、訴訟要件→本案勝訴要件という流れで論じることになりますから、答案では行政事件訴訟法→個別法という流れで複数の法令が登場することになります。

行政事件訴訟法については、最初に「行政事件訴訟法〇条」と書いた後は、「行政事件訴訟法〇条(以下、行訴法という)」などと書くことなく、いきなり「行訴法〇条」として略称を用いて構いません。さらに進んで、2度目の登場以降は「〇条」として略称も飛ばしていいのかについては、悩ましいところです。問題によっては、略称まで飛ばすと、「〇条」がどの法令を指しているのかが不明瞭になる可能性があります(例えば、同じ設問において行政手続法なども登場する場合)。行政事件訴訟法については、個別法と異なり頻繁に答案に登場するわけではないため、「行訴法」という略称を用いてもたいした負担にならないことも踏まえると、略称まで飛ばすとどの法令を指しているのかが不明瞭になりそうな問題では、「行訴法」という略称を用いるのが望ましいです。

個別法については、1つしか登場しないのであれば、最初に「建築基準法〇条」と書いた後は、「建築基準法〇条(以下、法という)などと書くことなく、いきなり「法〇条」と書いて構いません。単に「法〇条」と書いた場合に、行政事件訴訟法と個別法のどちらを意味しているのかが不明瞭になるようにも思えますが、司法試験の問題文では、”森林法(以下「法」という)”(令和4年司法試験)、”社会福祉法(以下「法」という)”(令和5年司法試験)というように、個別法が「法」と略されていることが多いことも踏まえると、問題文において個別法を「法」と略する旨の記述がない場合でも、採点官としては「法〇」が個別法を意味していると認識するのが通常です。さらに、問題文において個別法を「法」と略する旨の記述がある場合には、最初から個別法の正式名称を飛ばして「法〇条」と書いて構いません。

行政事件訴訟法のほかに、サブの条文として行政不服審査法や行政手続法なども登場する場合には、一度は正式名称を書くのが望ましいですが、受験戦略上、正式名称を飛ばしていきなり「行審法」「行手法」というように略称を用いるのもありです。

結局は、採点官における識別可能性の問題であり、採点官において答案における条文の記述と法令名の対応関係を識別できるのであれば、あとは丁寧さよりも書き易さを優先して構いません。また、法令名に限ったことではありませんが、形式面と内容面のいずれについても、満点を目指す必要はないですし、無理に満点を目指すことがかえって途中答案などによる失点を引き起こす可能性もありますから、バランスを考える必要もあります。

それから、法令名について過度に丁寧に書こうとするタイプの受験生は、前置き、問題提起、文言の「 」書きでの引用など、法令名以外のことについても過度に丁寧に書こうとする傾向にありますから、気をつけましょう。答案の中身を充実させるためには、ある程度、形式面を崩すための思い切りの良さも必要であると考えます。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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