数日前から、民間団体が計画した埼玉県の県営プールにおける「水着撮影会」について、日本共産党埼玉県議会議員団からの中止要請を受けて、県から委託を受けた公園管理団体が県営プールの使用許可を取り消した問題について、様々な意見が飛び交っています。
これに関連することとして、「隠された規制目的」という問題点を取り上げようと思います。これは、法令違憲審査と適用違憲(又は処分違憲)審査のいずれにおいても問題となる論点です。
今回のように、特定の思想・意見を有する団体の要請等を受けてなされた公共施設の利用拒否については、当該団体の思想・意見が「隠された規制目的」(≒真の規制目的)となっていないかが問題となり得ます。
法令適用の憲法適合性が問題となるケースであれば、法令の適用行為の目的(=規制目的)が「法令の目的」ではなく、それと異なる「別の目的」にあるのではないかという点が問題となります(なお、これは行政法レベルの問題として捉えるのであれば、裁量権行使における他事考慮(判断過程審査)又は権利濫用(社会観念審査)という形で問題となります。)。
似たようなことは、自衛隊官舎ビラ配布事件においても問題になっており、最高裁は、「表現そのものを処罰することの憲法適合性が問われているのではなく、表現の手段すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に管理権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われている」と判示し、表現内容規制であることを否定しています。
もっとも、同事件では、ビラ配布による表現の名宛人である自衛隊による被害届の提出が起訴・処罰の端緒となっていたため、起訴・処罰は自衛隊のイラク派兵反対という特定内容の表現を抑圧することに向けられた表現内容規制であると考える余地もありました。
また、「隠された規制目的」という問題意識は、平成26年司法試験において、条例制定過程に関する事情を踏まえて地元のタクシー業者の保護・優遇という目的の有無を検討させる形でも出題されています。
司法試験では、パターナリズムに基づく有害情報規制(H20、H30)、大学における学問研究の自由と大学の自治の対立(H21、R4)など、同種の問題意識が繰り返し出題されるので、「隠された規制目的」という問題意識もおさえておきましょう。
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