共同正犯の処罰根拠である因果的共犯論からは、当然に承継的共同正犯を肯定できるわけではなく、むしろ否定説が導かれることになります。
学説の多くは、因果性は遡及しないことを前提に、先行行為により構成要件該当事実の一部が惹起されている以上、後行者の関与行為が構成要件該当事実全体に因果性を及ぼすことはできないとして、否定説を支持しています。
もっとも、少なくとも最高裁平成24年決定は、後行者の関与行為が構成要件的結果に対して因果性を有する限りで承継的共同正犯を肯定する見解であり、論文試験でも否定説ではなく平成24年決定の見解を採用するべきです。
因果的共犯論から平成24年決定の見解を導くためには、処罰根拠である因果性の要求水準を緩和する必要があります。
すなわち、処罰の隙間を埋める必要性という政策的理由から、共犯の処罰根拠である因果性を拡張的に理解し、承継的共同正犯の場面においては、構成要件該当事実のうち最も重要である結果(法益侵害)に対する因果性があれば足りると理解するわけです(以上につき、山口厚「新判例から見た刑法」第3版114~124頁参照)。
なお、だまされたふり作戦事件における最高裁平成29年決定については、因果性を基準とする見解から不能犯の議論を応用することにより承継的共同正犯の成立を認めたとの説明がある一方で、因果性とは異なる基準を用いているとの説明もあります。
承継的共同正犯については、深い理解が要求されるため、因果的共犯論から否定説や限定中間説を導くための説明の仕方、具体的事例における限定中間説からの結論の導き方(正しい当てはめの仕方)をしっかりと学習しておきましょう。
承継的共同正犯については、深い理解が要求されるため、因果的共犯論から否定説や限定中間説を導くための説明の仕方、具体的事例における限定中間説からの結論の導き方(正しい当てはめの仕方)をしっかりと学習しておきましょう(加藤ゼミナールの受講者の方は、総まくりテキスト、総まくり論証集、基礎応用完成テキストの該当箇所に書かれていることを理解すれば足ります。)。
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