ある塾では実質的関連性の基準における手段審査について「手段が効果的で過度でない」と書くように指導しているようですが(こちらのtweetを参照)、少なくも今の司法試験委員会の理解では、厳格審査の基準及び中間審査の基準における手段審査は「適合性・必要性 」の2要件で整理されています。
例えば、令和3年司法試験採点実感では「手段審査における適合性、必要性を意識して論述する答案が一定数見られ、それらの答案の多くは、規制①が目的達成にどのように役立つのかを具体的に論述できていた。」との記述があります。
また、著名な基本書・解説書でも厳格審査の基準及び中間審査の基準における手段審査は「適合性・必要性 」と理解されています。
某塾の要件整理における「過度でない」は、必要性を意味しているのか、狭義の比例性という意味での相当性を意味しているのか、これらの双方を意味しているのかが不明瞭です。答案で使うべきではありません。
因みに、厳格審査の基準及び中間審査の基準における手段審査については、「適合性・必要性・相当性(狭義の比例性)」の3要件で整理する見解もありますが、これまでの司法試験の出題趣旨・ヒアリング・採点実感を読む限り、司法試験委員会は3要件説には立っていないと考えられます。そこで、試験対策としては、厳格審査の基準及び中間審査の基準における手段審査については、原則として「適合性・必要性」の2要件説に立ち、問題文中に相当性としてでなければ評価することができないがあるヒントがある場合に限り、3要件説に立って当該ヒントを相当性審査で拾い上げると理解するべきであると考えます。
憲法の手段審査に限りませんが、定義や要件整理で迷ったら、まずは司法試験の出題趣旨・ヒアリング・採点実感を確認してみましょう。そこに司法試験委員会の見解が示されていることがあります。出題趣旨・採点実感に書かれていない場合には、元・現考査委員が著者になっている著名な基本書・解説書→それ以外の著名な基本書・解説書という順にリサーチをします。
司法試験・予備試験受験生の皆さんは、法律を学問として勉強しているのではなく、司法試験・予備試験試験対策として勉強しているのですから、学問的に正しいとされる理解を探求するのではなく、試験的に正しいとされる理解、すなわち司法試験委員会の見解に沿った理解を探求するべきことになります。
上記の「手段が効果的で過度でない」という学問的な正確性すら担保されていない理解は論外ですが、ある基本書・解説書に書かれている理解であってもそれが司法試験委員会の見解に沿ったものでないのなら試験で使うべきではありません。
だからこそ、リサーチをする際には、司法試験の出題趣旨・ヒアリング・採点実感→元・現考査委員が著者になっている著名な基本書・解説書→それ以外の著名な基本書・解説書という優先順位になるわけです。
なお、予備校や講座・教材選びをする際には、口先だけの誠実さではなく、教材や授業の内容から滲み出る試験対策に対する誠実さを基準にすることをお薦めいたします。
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