加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

記憶と理解の序列

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司法試験・予備試験において理解が重要であるとの言説を見聞きすることがありますが、決して記憶を怠って良いだとか、理解が記憶に優先するといったことではありません。

記憶と理解は相互依存の関係にあります。

理解をしていない事柄は、丸暗記になってしまい、その分だけ短期記憶にとどまりがちであり、理解は特に長記憶をする上で重要であるといえます。その一方で、記憶しているからこそ理解が促進されるとも言えますし、記憶するために何度も同じ事柄を読み込むからその過程で理解が促進されるということもあります。

記憶不足を理解で補うことはできません。理解の対象が存在しないか曖昧である以上、それを理解によって埋めることはできないわけです。

記憶も理解も重要であり、記憶するべきことは脳内で瞬時に想起できるレベルにまで反復して定着化させるべきです。

理解を過度に強調している人ほど、記憶どころか理解も曖昧です。

関連することとして、予備校利用者が理解を深めるために基本書を読むことについても少し言及します。予備校テキストは、一元化ツールとしての利便性のために、基本書に比べてシンプルに作成されている傾向にあるため、予備校テキストの内容に関する理解を深めるために基本書を読むことが有益である場合があることは否定できません。もっとも、あくまでも予備校テキストで記憶するべきことを記憶した上で、その記憶するべきことの理解を深めるという目的で基本書を読むべきであり、予備校テキストに書かれていることをたいして記憶していない状態で基本書に手を出すべきではありません。それは、学習の順序を誤っています。

勉強の方向性を見誤らないで頂きたいと思います。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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