加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

憲法における判例学習のポイント

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憲法における判例学習のポイントは、大別して2つあります。

1つ目は、前回のコラムでお話ししたことと関連しますが、学説が違憲審査基準論を採用している領域においては、判例を違憲審査基準論に引き直して整理する必要があるということです。詳細は前回のコラム(「憲法における違憲審査の枠組み(判例と学説の違い)」)をご覧ください。

2つ目は、答案で使えるくらいに判例のポイントを簡潔にまとめてインプットするということです。

例えば、薬事法事件であれば、次の3つです。

  • 形式的には職業遂行の自由に対する制約にとどまるものであっても、実質的には狭義の職業選択の自由に対する制約に当たることがある。
  • 職業規制の違憲審査基準の厳格度は、(主として)規制の態様と目的の2点を考慮して、当該規制に関する立法裁量を尊重する要請の度合いを明らかにすることにより決定される。
  • 中間審査以上の基準では目的・手段の双方について立法事実を根拠とした心象形成が必要であるところ、薬事法事件では、中間審査の基準に属する厳格な合理性の基準を採用した上で、手段適合性の前提である「距離制限規定の不存在→薬局の偏在→競争激化→一部薬局の経営不安定→法規違反による不良医薬品の供給」という因果関係のうち、「一部薬局の経営不安定→法規違反による不良医薬品の供給」という部分について観念上の想定にすぎず立法事実による裏付けがないとして否定して、手段適合性がないと判断した。

憲法では、他科目以上に、答案に書くことを強く意識して日頃の勉強を行いましょう。アウトプットで使うための道具を身に付けるためにインプットをしているのだということを常に頭に入れておきましょう。

そうすることで、インプットの範囲、水準及び形が明確になり、アウトプットに直結するインプットができるようになります。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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