第73期司法修習生の皆さんは、明日から二回試験ですね。
二回試験に合格すると、長かった受験生時代がひと段落することになります。
二回試験については、私から皆さんにアドバイスできることは少ないのですが、以下では、全科目共通の留意点と科目ごとの留意点について取り上げさせていただきます。
全科目共通
- 普段通りの起案をする
毎年、修習生の方から、「集合修習で成績が悪かった科目が不安である」といった相談を受けるのですが、私は「普段通りの起案を書いてくるように」と回答しています。普段通りの実力を発揮して書いたのに不可になるということは、まず考えられません。むしろ、二回試験だからと気張って、時間配分も含め普段やらないことを無理にやろうとすることのほうが危険だと思います。
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- 大きなミスをしないようにする
超重要証拠を丸々落とす、民事弁護で原告と被告とが入れ替わっている、刑事弁護で被告人の弁解を無視して有罪前提の弁論を起案する、科目ごとの書き方(特に、検察)をもろに無視するなど、大きなミスをしないように気をつけましょう。こうした大きなミスがなければ、中身で落ちるということはまずないと思います。
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- 綴り紐をちゃんと結ぶ
綴り紐をちゃんと結びましょう。そのために、綴り紐をちゃんと結ぶための時間を確保しましょう。二回試験では、合格水準は高くない一方で、ルールは非常に厳格です。終了何分前に必ず紐を結ぶ、試験官から紐を結ぶようにと指示があった場合には必ず紐を結ぶというように、自分の中でルールを決めておきましょう。
民事弁護
- 原告側と被告側のいずれで起案するのかを、必ず確認する。
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- 途中で原告・被告の主張が撤回・追加・変更されていないかを確認する。
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- 第69期の二回試験のように、被告側の答弁書がない事案で法律構成及び争点から考えさせる問題では、尋問調書から立証命題を読み取ることにより、法律構成及び争点を把握する。
刑事弁護
- 刑事弁護は、中身で落ちることがほとんどない科目ですから、「被告人の弁解を無視した有罪前提の弁論は起案しない」というルールさえ守れば、不可になることはないと思います。
被告人の弁解がどんなに胡散臭くても、刑事弁護人としての立場から起案をしましょう。裁判官目線にならないよう、気をつけましょう。
民事裁判
- なるべく、訴訟物及び要件事実レベルのことで間違えないようにしましょう。訴訟物及び要件事実レベルのことで間違えることが不可に直結するわけではありませんが、間違え方によっては、一番配点が大きい事実認定において的外れな争点について論じることになる危険があるからです。逆に、訴訟物及び要件事実レベルのことで間違えても、正解筋として想定されている主たる争点を”大外し”することにならなければ、不可になることはありません。
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- 主たる争点についての事実認定において、超重要証拠を丸々落とすことにならないよう、気をつけましょう。
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- 判断枠組みを正しく選択しましょう。もっとも、判断枠組みを間違えても、中身が伴っていれば、不可になることはないです。
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- おそらく、今でも、請求認容の場合には主たる争点以外についても事実認定をするようにと指導されているはずですから、請求認容の場合にはなるべく主たる争点以外についても事実認定をしましょう。
刑事裁判
- 必ず小問も書きましょう。刑事裁判では、小問を飛ばすと不可になるという噂を聞いたことがあります。
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- 刑事裁判では、基本的に、有罪寄りの事案になっているので、無罪判決で起案することになるのは稀だと思います。無罪判決が絶対にダメだというわけではありませんが、有罪寄りの事案であるにもかかわらず無罪判決で書いているということは、有罪寄りの超重要証拠を丸々飛ばしていたり、証拠及び間接事実について極めて不自然な評価をしている可能性が高く、その結果として、低い評価に繋がるのだと思います。
検察
- 送致罪名で起訴するかについては、必ず、確認しましょう。なお、送致罪名で起訴するべきかが悩ましい事案であれば、送致罪名で起訴したかどうかが合否に影響することはないと思います。
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- 犯人性及び犯罪の成否については、「終局処分起案の考え方」の書き方(又は修習中に教官から指定され書き方)を守りましょう。あまりにも型破りな書き方をすると、不可になることがあります。書き方に関する自由度が最も低いのが、検察です。
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- 犯人性の起案では、事案類型ごとの重要証拠を落とさないようにしましょう。2個くらい落としてもぎりぎり合格できると思いますが、近接所持事案で被害品との繋がりについて一切言及していない、凶器利用事案で凶器との繋がりについて一切言及していないなど、超重要証拠を丸々落としてしまうと不可になる可能性が高まります。
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- 犯人性と犯罪の成否のついての時間配分に気をつけましょう。情報処理が苦手な人にとっては、検察はけっこう時間制約が厳しい科目になると思います。二回試験だからといって気張って犯人性を丁寧に書きすぎた結果、犯罪の成否について論じる時間が無くなった、紐を結び忘れたということにならないよう、気をつけましょう。
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- ちなみに、私が二回試験で不可になったのが検察です(翌年、合格しています)。もともと情報量の多さと独特な書き方から検察科目について強い苦手意識を持っており、本番では犯人性について丁寧に書きすぎてしまい、焦って犯罪の成否を書いていたら書き方が変だったため全て削除して書き直そうとしたところ、残り時間が全然なかったため、犯罪の成否を1頁半でまとめるために、証拠による事実認定を全て飛ばして証拠からダイレクトに構成要件要素を認定する(例えば、『放火あり(証拠)』)というあまりにも型破りな書き方をした結果、不可になりました。犯罪の成否のうち、一部について型破りな書き方をしても大目に見てもらうことができますが、最初から最後まで型破りな書き方をすると、不可になる危険が一気に高まります。時間配分と書き方はしっかりと守りましょう。
第73期司法修習生の皆さんは、実務修習中に在宅修習に切り替わる、二回試験の時期にコロナウイルス感染症の状況が悪化するなど、本当に大変だったと思います。
集合修習のタイミングで第73期の方々にお会いできればと思っていたのですが、それも叶いませんでした。
二回試験が終わって落ち着いたら、食事でも行きましょう。
何名か集めて頂ければ、こちらでお店の手配などしますね。TwitterのDM、本ブログの「お問い合わせ」などを使ってご連絡頂ければと思います。
明日からの二回試験、頑張りましょう!
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加藤ゼミナール
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
講師紹介
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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