弁護士事務所の待遇では、必ず契約形式が「雇用」「業務委託」のいずれであるかを確認しましょう。
両者が大きく異なる点は、主に3つです。
1つ目は、労基法等の適用の有無です。
労基法等の適用の有無は役務提供の実態を基準として判断されますが、訴訟等の紛争に発展しない限り、事務所側は契約形式を基準として処理をすることになります。
労働時間規制、解雇規制、有給休暇、産前産後休業・育児介護休業など、様々な面で労働者は守られています。
2つ目は、公的保険です。
雇用では原則として公的保険は厚生年金・健康保険等であり、保険料は労使折半ですが、個人事業主では原則として公的保険は国民年金・国民健康保険等であり、保険料は全額自己負担です。
しかも、後者では、地域によっては課税所得1,000万円くらいで保険料が最高額(100万円超)に到達しますし、国民年金では厚生年金と異なり年金支給額は微々たるものです。
3つ目は、税金です。
雇用と業務委託とでは、想像以上に税負担が異なります。
まず、給与所得と事業所得では、所得控除額が異なります。例えば、所得860万円の場合、給与所得なら所得控除額1,950,000円であるのに対し、事業所得では所得控除額は636,000円にとどまります。
次に、事業所得では、場合によっては事業税5%も負担する必要があります(私の場合、講師1年目から負担していました)。
そして、一番違いがあるのは消費税です。事業所得の場合、課税売上高に対して消費税がかかります。課税売上高5,000万円以下であれば簡易課税制度を使えますから、弁護士なら消費税率は約5%ですが、課税所得ではなく課税売上高に対して課される消費税の負担は非常に重いです(しかも、予定納税もあるため、税負担は実質約1.5倍です。)。さらに、課税売上高1,000万円以下なら免税事業者として消費税負担の免除を受けることができ、1,000万円超でも2年間は消費税免税の免除を受けることができるものの、事務所側が満額仕入税額控除をするためにインボイス登録を強いる可能性があります。仮にインボイス登録をした場合、消費税免税を受けることができず、それは事務所から支払われる報酬に限らず事業所得全体に及ぶことになります。
なお、事業所得では経費計上により課税所得を低くできるという人がいますが、節税名目での安易な経費計上は奨励しません。まともな税理士は口を揃えて、「お金を貯める一番の方法は、無駄に経費計上をしないで、きちんと納税することだと」と言います。
講義のご紹介
令和6年司法試験 有料講座の合格者数356名
加藤ゼミナールでは、令和6年司法試験において、有料講座の受講者様から356名の合格者を輩出することができました!
令和4年司法試験 110名
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毎年、順調に有料講座の合格者数を伸ばすことが出来ています。
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