行政法の論文学習のコツは、3つです。
1つ目は、三大頻出分野をマスターすることです。
行政法では、行政裁量、処分性及び原告適格の出題頻度が非常に高いです。司法試験でも予備試験でも、これらの三大頻出分野が配点の半分~3分の2以上を占めることが多いです。
ここで最も大事なことは、出題パターンごとの処理手順(例えば、裁量基準に従った場合、裁量基準に違反した場合、裁量基準がない場合ごとの処理手順など)や講学上の判断枠組み(処分性の要件、原告適格に関する法律上保護された利益説など)を正確に使いこなせるようになることです。
超重要分野であるだけに、判例の数も非常に多いのですが、三大頻出分野における判例は、出題パターンごとの処理手順や講学上の判断枠組みの解像度を高めるために参照されるものにすぎません(やや極端な言い方かもしれませんが、試験対策という観点からは、そのように理解して構いません。)。
ですので、判例を、出題パターンごとの処理手順や講学上の判断枠組みに落とし込む形で理解する必要があります。判例を判例から見るのではなく、処理手順や講学上の判断枠組みから判例を眺め、その下位基準的なものとして判例を分析することにより、答案で使える判例知識が身につくわけです。
なお、これは判例学習を軽視して良いということを意味しているわけではありません。例えば、土地区画整理事業計画決定の処分性を認めた平成20年最大判や病院開設中止勧告の処分性を認めた平成17年最判の判例理論については、そのポイントを答案に書いて応用できるレベルにまで理解・記憶しておかないと話になりません。
どの判例をどのレベルにまで理解・記憶しておけばいいのかという点は、過去問の演習分析を通じてイメージを掴んで頂きたいと思います。
2つ目は、三大頻出分野以外の重要分野論点もおさえるということです。
特に、職権取消し・撤回、行政指導を理由とする許認可の留保、違法性の承継、不利益処分における理由の提示、主張制限(行訴法10条1項)、訴えの利益、執行停止、無効等確認訴訟、義務付け訴訟、差止訴訟、公法上の確認訴訟、損失補償といった過去問で出題されている分野・論点は、必ずおさえるべきです。
三大頻出分野が配点の半分~3分の2以上を占めることが多く、年度によっては最大頻出分野だけが出題されることもありますが、半分近くが三大頻出分野以外から出題される可能性もある以上、重要な分野・論点についてインプットの穴があるのはリスクが高すぎます。
行政法の学習範囲は狭いのですから、極端にヤマを張るということはせずに、三大頻出分野以外の重要な分野・論点もしっかりとおさえておきましょう。
3つ目は、現場思考問題の対処法を確立することです。
行政法では、違法事由を検討させる問題において、現場思考問題が出題されることが多いです。
実体法上の違法事由については、大別して、①行政裁量で論じるパターン、②行政裁量がないことを前提として既存の判例・学説を使って論じるパターン、③行政裁量がないことを前提として現場思考で論じるパターンがあります。
③の現場思考問題では、条文の趣旨を出発点として、条文の文言に関する解釈を示し(=規範定立)、当てはめをするという形で論じることになります。何を書いたかよりも、どう書いたか、すなわち「条文の趣旨→解釈による規範定立→当てはめ」という論述形式を守ることが一番重要です。
そして、司法試験では、条文の趣旨や規範について会議録で誘導されることが多いので、イチから自分で考える必要はありません。特に規範については、会議録で出題者が求めている当てはめ(どの事実をどのように評価して、いかなる結論を導くべきか)が誘導されることが多いので、当てはめから逆算して規範を定立することができます。この「当てはめから逆算して規範を定立する」という技術は、民事系の現場思考問題でも使えるので、しっかりと習得しておきましょう。
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