プロフィール
J・S 様 (男性)
平成10年3月 横浜国立大学経営学部経営学科卒業
平成10年4月 某銀行入社
平成22年4月 慶應義塾大学法科大学院既修入学
平成24年3月 慶應義塾大法科大学院修了
平成25年6月 某法律事務所勤務
平成28年9月 5年5回目の受験で平成28年司法試験に合格
受講講座
成 績
平成28年
総 合 1393位/受験者6899人
論 文 1508位 428.34点
.公法系 1856位 104.99点(憲法A 行政F)
.民事系 1112位 171.99点(民法A 商法A 民訴F)
.刑事系 1691位 107.90点(刑法C 刑訴C)
.租税法 209位/採点対象者303人 43.44点
短 答 910位 合計143点(44点/60点/39点)
平成27年
総 合 2959位/受験者8016人
論 文 3128位 合計352.77点
.公法系 4253位 72.78点
.民事系 2554位 140.32点
.刑事系 3584位 82.55点
.租税法 59位/採点対象者339人 57.11点
短 答 1152位 合計点143点(33点/63点/47点)
平成24年~26年
平成24年 論文4822位
平成25年 論文2807位
平成26年 論文3073位
加藤ゼミ受講前の勉強方法
- 法科大学院在学中
ロースクール時代に、担当教員の方に勉強方法を相談したら、「予備校本なんかダメだ、基本書を読め」と言われました。これをきっかけに、私は今までロースクール入学まで使い込んでいた予備校本(LECの入門講座・論文講座から使ってきたインプットテキストと演習書)は一切やめ、基本書と学者が書いた演習書を使った勉強に切り替えました。しかし、これが私の成績降下のスタートでした。
基本書には、論文で書くときに必須の条文の趣旨が明確に書いておらず、学者が反対説、判例を挙げてこれを批判して自説が妥当であるとする説明をしている箇所が多く、根拠も明確ではありません。細かい論点は載っていますが、論理を解釈するのは読者に委ねられており、論文に全く役に立ちませんでした。しかも、頁数が多いので繰り返し読み返すことができず、結局、基礎知識を繰り返すことによって頭に叩き込むという作業ができず、基本的知識がどんどん抜けていきました。また、事例演習教材など一部の演習書を除いて、学者の演習書は網羅性に乏しい上に、繰り返し解いて論点を体で覚えるようなものではなく、解説を読んで論点の理解を深める性質のものであり、演習書というよりは参考書でした。他方で、授業で扱う発展的な論点についてばかり予習・復習に時間をかけ、試験に出もしない論点を追いかけて、基本書・調査官解説を食い散らかしては忘れて、穴だらけの状態になりました。そのような状態で迎えた 1回目の司法試験は散々な成績でした。
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- 法科大学院卒業後から司法試験合格まで
卒業後2回目の試験は一人で勉強して臨み、総合順位を2000番台後半まで上げることができましたが、合格することはできませんでした。これを受け、一人で勉強するという孤独に対する不安から、合格者から指導を受け、かつ仲間と勉強する方が刺激になると考え、3回目と 4回目は某受験団体に在籍しました。しかし、在籍期間は全く成績が上がらず、むしろ論文の成績は下がりました。人と競いながら勉強するので、人が気になり自分の弱点と向き合うことができていませんでした。また、私は、科目によっては4~5ページしか答案を書けませんが、合格者の指導をはき違え、また鵜のみにして8ページ書ける人と同じことを書こうとして途中答案を連発しました。さらに、答案では、全要件を検討することを指導されましたが、たとえば、不法領得の意思の場合、書くと定義とあてはめで少なくとも4~5行くらいは使うことになります。合格者の言うこと全てが正しいと誤解し、自分に本当に必要なアドバイスと不要なアドバイスを取捨選択できず思考停止し、全く成績が上がらず 3回目、4 回目も不合格となりました。
あ
加藤ゼミの使い方
- 目的意識
1 月から加藤過去問ゼミを受けました。私の合格は加藤先生のおかげ以外の何ものでもないほど、私にとって極めて重要なゼミでした。Youtubeや加藤ゼミ受講者の合格体験記の話から判断して、加藤先生から受けた指導どおりに答案を修正できれば、合格答案になると思っていたので、加藤先生の指導を信じることにしました。もちろん、盲目的に信じることではありませんが、ただ、ほとんどすべての指摘が自分のダメさ加減を鋭くつくもので、納得できるものでした。自分の答案の悪癖をあぶり出しもらう、そして、その修正方法を伺うことを目的にゼミを受けました。
受験生同士でゼミを組んで答案を回し読みして議論したとしても、合格してない人から指摘されるので説得力がなく、時間の無駄だと思いました。また、普通の合格者に見てもらってもただダメ出しされるだけだったり、その人固有の書き方を押し付けてくるなどがあります。改善の方法が分からず癖が治らないのみならず、かえって自分には適さない書き方を強いられることになり有害だと思いました。しかし、加藤先生は、ダメ出しのみならず、修正方法をご自身の体験を踏まえて説得的に指摘してくれるので、納得して迷わず修正に励むことができました。
答案作成では、モニター答案に1回は選ばれることを目標に答案を書きました。ゼミ生15名のうち(7科目×2名=)14通選ばれるので、ゼミ生で一人だけ選ばれない人がいる計算なので、それにはならないようにしようと考えていました。モニター答案に選ばれればそれは加藤先生に評価された答案なので、合格答案と考えてよいだろうと思ったからです(実際はどのような基準で選んでいるか聞いてないのでわかりませんが)。私は民法と民事訴訟法で選ばれ、目標を超えて2回選ばれたので、答案にある程度自信をもつことができるようになりました。
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- 添削・指摘の内容
初回の憲法で受けた添削のコメントはショックなものでした。かなりきついことを言われて、今年もダメかもしれないとも思いました。しかし、授業の際に、今年最後の人には厳しいことをあえてコメントしたとのフォローがあったことや、改善方法を指摘してくれていたので、まだ改善の余地がたくさんあるということだと前向きにとらえました。また、仲間や普通の合格者に見てもらうだけだと、良いところの指摘がないので、改善すべき箇所なのかわかりませんが、加藤先生の場合は良いところは良いと指摘してくれるので、良いところは現状維持し、改善すべき点を絞ることができました。
なかでも効いたのが、初回に指摘してもらった途中答案対策でした。途中答案になる私のメカニズムの厳しいけどズボシの指摘から、答案を100分で書きあげる訓練をするという改善方法まで指導してもらいました。指導どおり私は、2月から試験前日までほぼ毎日90分から100分で答案を書くことにしました。これは後述のように大変効果がありました。
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- ゼミの受講・復習の仕方等
ゼミでは、加藤先生が言うことを一言一句メモするぐらいにひたすらメモをとっていました。それを復習でノートにまとめて、自分の身につくように毎日見返しました。ゼミではあえて友達は一人も作らず、交流しませんでした。それは、加藤先生による自分の答案への指摘を修正することが最も重要であり、かつそれだけで合格できるのに、他のゼミ生の答案が気になってるようでは自分に不要な書き方・情報が気になり、かえって有害になると思ったからです。なので、ゼミが終わったらすぐに家にかえって復習をしました。
復習で行ったことは、加藤先生の答案の分析の徹底、自分の答案で指摘されたことの修正の徹底をしました。他人の答案はモニター答案のうち加藤先生が参考にすべきと指摘された箇所だけ分析しました。どうしたらこのような思考・文章が出てくるのか、事前準備なのか、基本知識なのか、判例知識なのか、現場思考なのか、問題文から判断できるのか、それを自分もできるようにするためには何をすべきなのか分析しました。科目ごとの枠組みを理解し、分析結果を弱点ノートにまとめて毎日の答案書きの前に見て克服するようにしました。さらに、厳しい指摘を受けた自分の不甲斐ない答案に納得いかないときや、もう一度書き直した方が良いとアドバイスをもらったときはもう一度書き直しました。
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- 加藤ゼミのカリキュラム終了後
加藤先生に言われたように、答案を90分から100分で毎日 1通過去問を書くようにしました。サボりそうなので勉強友達と答案を書いたら LINE で報告するようにしました。そのおかげで 2月から 5 月中旬の本番までサボることなくほぼ毎日答案を書きました。もっとも、書くことが目的になってしまっては、ただの苦行で全く意味がないので、加藤過去問ゼミで毎回3ページに及ぶ添削で指摘された自分のクセ・弱点を毎日の過去問書きで修正するよう努めました。答案を書く前に弱点ノートを見返してから書くようにしました。そのおかげで、長年のクセであった途中答案がなくなりました。また、今まで考えたことがなかったメリハリも意識できるようになりました。論理が飛ぶこともなくなり、文章力が改善できました。
平成28年司法試験を受験した感想
加藤先生から、「書ききれないと落ちる。書ききれば受かる。」と言われていたので、本番ではその言葉を信じて臨みました。全問途中答案なく書ききりましたが、帰りのバスで次々と落とした論点が思い浮かびました。今までの4回は試験後合格しているのではないかと思っていましたが、今年は絶対不合格だと思っていました。
最後に
私は、5年目5回目と長い間かかってなかなか合格できませんでした。しかし、今年は今までと変えたことがありました。変えたことにより合格できた要因は2つだと思います。
一つは、基本に戻りまとめノートを作ることにより体系的に出題範囲の法律を理解でき、知識に自信が持つことができたことです。「司法試験は知識ではない」と言う合格者もいますが、有害な助言だと思います。これにより知識のインプットをおろそかにして問題演習ばかりやる人を増殖させていると思います。正確には「司法試験は知識だけではない」ということであって、正確な理解に基づいた知識がなければ、薄っぺらい論文しか書けず点数は伸びずいつまでも合格できないと思います。長い間やっていると、簡単な基本がつまらなくて避けてしまいがちです。私は、難しいことをやることこそ勉強だと勘違いしてしまいました。だから、瑣末な論点や現場思考型の論点を論証化して覚えようとしたりしていました。それにより基本を忘れて、答案に基本的なことを書かなくなりました。さらには、論証や日本語も雑になっていきました。しかし、昨年は、私が司法試験の勉強を開始した LECの入門講座のテキストを引っ張りだしてきて、もう一度基本から勉強しなおしました。まとめノートについては、法科大学院入学のときから、多くの合格者からまとめノートを作った方が良いと勧められてきたにもかかわらず、ずっとサボってきてついに失権直前まできてしまいました。まとめノートの作成によって、なぜその論点を論じるのか、どういう論理を展開すれば、判例の規範と整合するかなどを考えながらまとめることができるので、論点を理解できました。それにより、答練でも論点がポンポン出てくるようになりました。
二つ目は、答案の書き方を加藤先生の指導により変えることができたことです。具体的には、2月ごろから加藤先生の指示どおりに毎日答案を書いたことにより途中答案をなくし、メリハリある答案を書けるようになったことです。答案の書き方を変えることができたのは、加藤先生に毎回3ページにおよぶ添削指導を受けたからでした。ダメ出しだけではなく、どのようにすれば修正できるか修正方法まで指導してもらったからでした。ロースクールで勉強を誤り、受験団体でも勉強を誤り、結局5回も受験することになってしまいました。私の場合は、過去5回の受験で一人で勉強していたときの方が成績があがりました。一人で勉強することにより自分と向き合い自分で考えて勉強することができます。司法試験はこの作業が不可欠なのだと思います。今まで不合格になった結果はすべて自業自得ですが、このようになってしまったのは、司法試験に限らず、そもそも難関試験に合格するための勉強方法を知らず、人の意見を聞きすぎ振り回されて、基本書など教材の手を広げすぎたからでした。宅建や簿記や行政書士などの資格試験のときは、周りに振り回されず自分の信じる道を突き進むことができましたが、司法試験は難しいがゆえにどうすれば合格するか自信が持てず、不安になり周りに惑わされてしまったのだと思います。
私のように受験回数が多くなってしまった人は、私のような間違えに早く気付いて修正していただきたいと思います。加藤先生に指摘された箇所を修正できれば必ず合格できます。ただ、その後の修正のための努力と、努力できるように工夫をすることがかなり重要だと思います。それも自分の性格から判断して、いかなる手段をつかってでも修正する努力をできる工夫が必要だと思います。私の場合は、サボりがちな勉強はLINEを使って報告し合うことにして友達による監視機能を使いました。また、私は暗記を後回しにしがちだったので、朝・昼・夜の食後30分を暗記の時間にあてました。民訴・刑法各論・民法の定義、憲法の全人権の意義・趣旨の論証をまとめた用紙を食卓に常に置いておいて、20個覚えるまで食卓から離れないと決めていました。仕事のときは、Googleドライブに入れておいてスマホで電車の中やお昼休憩中に見るようにしていました。
以上、長くなりましたが、私の体験記が、なかなか合格できない方のお役に立てれば幸いです。
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