加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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賄賂罪の成否の検討順序

賄賂罪について質問です。
賄賂罪の客体である「賄賂」は、「公務員の職務行為の対価として授受等される不正な利益」と定義されていますが、ここにいう「職務行為」とは、職務関連性の要件でいう職務とは異なる意味なのでしょうか。仮に同一の意味であるとすれば、「賄賂」要件と職務関連性の要件とで当てはめが部分的に重複すると思い、違和感を抱きました。
また、上記の疑問と関連することですが、賄賂罪の成否の検討順序としては、①公務員(主体)→②賄賂(客体)→③職務関連性(条文上は、客体の修飾語?)→④収受等(実行行為)→⑤故意・職務執行意思、という流れで宜しいでしょうか。

賄賂罪の成否は、単純収賄罪(197条1項前段)であれば、①「公務員」(身分)→②「賄賂」(客体)→③職務関連性(「その職務に関し」)→④「収受」等(実行行為)→⑤故意・職務執行意思、という流れ検討します。

②「賄賂」の要件は、㋐人の需要・欲望を満たすに足りる一切の利益、㋑公務員の職務行為との間で対価関係を有することの2つからなります。具体的職務権限に属しない行為、密接関連行為、違法・不正な行為、過去の職務、転職前の職務又は将来の職務といった形で④職務執行性が論点になる場合には、②の㋑で④の先取りをすることにならないよう、公務員の”何らかの職務”との間で対価関係があることだけ②の㋑を肯定し、対価関係のある”何らかの職務”が職務関連性の要件を満たすかどうかを④の段階で初めて論じます。

こうすれば、②の㋑と④とで当てはめが重複することを避けることができます。

2021年04月08日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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