加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

条文の素読の重要度と方法は、「科目」と「短答対策か論文対策か」の2点により異なります。

いつもお世話になっております。
条文の素読が重要であるとよく耳にしますが、演習書やインプット教材を回す過程で条文を参照するのとは別に、素読をすることもやはり重要でしょうか。
条文を素読する場合には、どのような目的をもって、どういったことを意識しながら素読するのが効果的でしょうか。
また、使用するのは書き込みのない六法と択一六法や短答知識を書き込みした判例六法等のどちらが望ましいでしょうか。
お教え頂けましたら幸いです。

1.条文の素読の重要度と方法は、「科目」と「短答対策か論文対策か」の2点により異なります。

憲法では、論文対策として条文を素読する必要はありません。演習書・インプット教材を回す過程で出てきた条文を確認すれば足ります。短答対策としては、統治分野については、素読しておく必要性が高いです。

民法では、論文対策として条文を素読する必要性はさほど高くありません。論文で使う条文のほぼ全ては、演習書・インプット教材に記載されているはずですから、演習書・インプット教材を回す過程で出てきた条文を確認すれば足ります。短答対策としては、条文を素読する必要性が高いです。

刑法では、論文対策として条文を素読する必要性はさほど高くありません。論文で使う条文のほぼ全ては、演習書・インプット教材に記載されているはずですから、演習書・インプット教材を回す過程で出てきた条文を確認すれば足ります。短答対策としても、近年は細かい条文知識が問われなくなっている傾向にありますから、条文を素読する必要性は高くありません。

行政法では、論文対策として条文を素読する必要性は非常に低いです。論文で使う条文は限られていますから、演習書・インプット教材を回す過程で出てきた条文を確認すれば足ります。短答対策としては、行政事件訴訟法・行政手続法の条文を素読する必要性が高いです。

商法(会社法に限ります)では、論文対策として条文を素読する必要性が高いです。細かい条文知識が問われていることもありますし、普段から六法を参照することで試験本番で瞬時に条文を検索できるように六法を使った条文検索に慣れておく必要があります。もっとも、全ての条文を素読することは非効率ですから、演習書・インプット教材で出てきた条文の修正部分から読み、徐々に素読する範囲を広げていくといったメリハリ付けが必要です。短答対策として素読をする必要性も高いです。会社法では、論文知識と短答知識との重なりが弱いため、論文用の演習書・インプット教材で掲載されている条文だけでは短答を解くことができないからです。

民事訴訟法・刑事訴訟法では、論文対策として条文を素読する必要性は非常に低いです。論文で使う条文は限られていますから、演習書・インプット教材を回す過程で出てきた条文を確認すれば足ります。短答対策としては、論文知識と条文の素読だけで足りるといえるくらい、条文素読が重要です。

2.条文を素読する際、書き込みのない六法と書き込みをした六法のいずれを用いるべきか

個々人の好みにもよると思いますが、私だったら、書き込みをのある六法を使います。論文・短答対策の過程で書き込みをしている箇所は、それだけ出題可能性が高いということですから、書き込みのある箇所⇒その周辺部分⇒それ以外の箇所、という優先順位に従い、可能な範囲で徐々に素読する範囲を広げていくという方法により、メリハリを付けた素読をすることができます。

 

2021年01月09日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ