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裁判上の自白における「自己に不利益」に関する議論と「事実」の範囲に関する議論との関係性

裁判上の自白における「自己に不利益」に関する議論について、証明責任説に立つ場合、証明責任が観念される事実が原則的に主要事実に限定されていることから(厳密には、補助事実のうち、文書の成立の真正にも認められる)、「事実」の範囲については必然的に主要事実と文書の成立の真正に限定されるとする見解が導かれることになるのでしょうか。逆に、敗訴可能性説からは、相手方が証明責任を負う主要事実のみならず、その事実に基づく判決が自分にとって全部又は一部の敗訴をもたらす可能性のある事実全般について裁判上の自白の成立が認められることになるため、必然的に、「事実」の範囲について間接事実や補助事実も含まれると解することになるのではないでしょうか。

確かに、「自己に不利益」について証明責任説を採用するならば、「事実」の範囲について、“少なくとも”証明責任を観念することができない間接事実と文書の成立の真正を除く補助事実は含まれないと解釈しないと、「自己に不利益」に関する解釈と「事実」の範囲に関する解釈とが整合しないと思います。逆に、「自己に不利益」について敗訴可能性説を採用するならば、「事実」の範囲について、間接事実・補助事実も含まれると解釈しないと、「自己に不利益」に関する解釈と「事実」の範囲に関する解釈とが整合しないと思います。

しかし、基本書では、「自己に不利益」に関する議論と、「事実」の範囲に関する議論は、連動させることなく、展開されています。論理的には不整合であると思われますが、試験対策としては、別々の議論として理解しておいた方が無難であると思います。

2020年09月09日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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