加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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平成13年決定の判断基準と縮小認定の関係

受講生です。刑事訴訟法基礎応用完成テキストのP187論点1(訴因変更の要否)とP192論点2 (縮小認定) の関係について以下のように整理しました。認識として間違っていないかどうかを加藤先生に確認頂けると大変助かります。何卒よろしくお願いします。
①論点1は基本的には訴因外の事実認定を検討対象として想定し、そのような訴因外の事実認定について訴因変更の要否を検討する為の論点である。
②論点2は縮小認定である事が疑われる事実認定を検討対象として想定し、「認定事実と訴因事実とが縮小認定関係にあるならば訴因内にあるといえる為、少なくとも訴因変更の論点が顕在化することはない」というロジックの下に論じる実益のある議論である。
③もっとも、「論点1で訴因外の事実認定であり、且つ②の原則論によって訴因変更が必要であると言う結論が出されたり」、「論点2の(論証1)で縮小認定である事が認定されたりしても」、依然として「論点1の②の例外論」や「論点2の(論証2)」に於いて、「争点明確化による不意打ち防止の要請」の趣旨に合致するか反するかによってそれぞれの原則論的結論は例外的に異なりうる
④一見「(縮小認定などは関係なくそもそも普通に)訴因内の事実認定ではないか」、「縮小認定に当たりその意味で訴因内なのでは?」という風に思ったとしても、受験生的には答案に於いて「訴因変更外なのでは(つまり論点1から検討するべきなのではないか)」、という事を仮定的に疑う形で「訴因変更の要否」に当たる議論から始める方が良い場合がある(論点落としの回避)

①~④の理解で問題ないです。授業でも説明していることですが、念のためここでも再度説明しておきます。

川出説は、縮小認定における具体的防御の問題点について最高裁平成13年決定の判断基準の中で論じますから、訴因変更の要否自体に言及しなくても、訴因変更の要否に関する判断基準にも言及することができます(基礎応用完成テキスト192頁の脚注参照)。したがって、訴因変更の要否を飛ばしていきなり縮小認定を論じても、訴因変更の要否に関する判断基準に対する配点を落とすというリスクはありません。

もっとも、上記の川出説は一般的な理解ではありませんから、論文試験では、縮小認定について、訴因変更の要否に関する判断基準から切り離して論じることになります。

そうすると、訴因変更の要否を飛ばしていきなり縮小認定を論じると、訴因変更の要否に関する判断基準には一切言及しないことになります。

問題文の内容にもよりますが、縮小認定が問題となる事案では、訴因変更の要否にも配点がある可能性があります。そこで、訴因変更の要否に対する配点を落とすリスクを回避するためには、(1)仮に訴因外の事実認定であった場合には訴因変更を要するか→(2)実は縮小認定が認められ訴因内の事実認定にとどまるのではないかという形で、訴因変更の要否に関する判断基準にも言及するのが無難であると考えます。

2024年01月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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