加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

職業規制に関する違憲審査基準を設定する際に人権の性質・重要性は考慮されるのか?

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表現規制などでは、制限される人権の性質・重要性と規制の程度を考慮して違憲審査基準を設定しますが、職業規制の場合には考慮要素が異なります。

職業規制では、権利制限の重大性と規制の目的を考慮して、違憲審査基準を設定します。

制限される人権の性質は、権利制限の重大性の話として、「狭義の職業選択の自由に対する制約に当たるのか、職業遂行の自由に対する制約にとどまるのか」という形で考慮されるにとどまります。

それを越えて、当該「職業」の内容・性質にまで踏み込んで当該「職業」の重要性を評価し、それを違憲審査基準を設定する際に考慮するということはしません。

” このように考えるならば、職業の自由の制限態様、制限の重大性、制限目的の具体的検討を通じて、立法裁量の範囲と目的・手段審査の審査密度を決定しているのが、判例法理の真の姿だと捉えられる。”(渡辺康行ほか「憲法Ⅰ 基本権」第2版354頁)

” これに従うならば、まず、規制の方法について、職業の「選択」に対する制限か職業の「遂行」に対する制限か…、さらに職業「選択」 に対する制限の中でも、距離制限規制など本人の能力に関係しない要件か、資格制など本人の能力や努力に関わる要件かといった観点から、規制によって権利・自由が受けている制約の重大性を評価するべきだと考えられる。目的の認定とその評価は、これらの検討に続けて行い、最終的に、自分が適切だと考える審査の厳格度を決定する、という流れで論じてみればよいのではないだろうか…。”(曽我部真裕ほか「憲法論点教室」第2版154頁)

【令和6年司法試験 出題趣旨 公法系第1問】

【令和6年司法試験 採点実感 公法系第1問】

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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