加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

おとり捜査の適法性

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おとり捜査の適法性は、「強制処分該当性→任意捜査の限界」という枠組みで論じますが、強制処分該当性を否定する根拠によっては任意捜査の限界の論じ方が通常の捜査手段と異なります。

おとり捜査について、被侵害利益である意思決定の自由は法的に保護に値しないとの理由から「強制の処分」に当たらないと解すると、対象者の法益侵害を観念できないため、捜査の必要性と対象者の法益侵害との比較衡量を基礎とした「必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される」という昭和51年決定の判断枠組みはそのままの形では妥当しなくなります。

法的に保護すべき権利・利益の制約を観念できないにもかかわらず、おとり捜査に限界があるのは、おとり捜査には「捜査の公正さに反する」「刑罰法規が保護する法益の侵害が生じる」という2つの問題があるからです。

そこで、おとり捜査の任意捜査としての適法要件は、①おとり捜査を許すべきといえるだけの必要性と、②上記2つの問題点を考慮した上で具体的なおとり行為が相当といえることの2点で整理されることになります。

②相当性では、「捜査の公正さに反する」という問題との関係では、捜査機関の働き掛けの態様や犯罪への関与の程度が考慮要素となり、「刑罰法規が保護する法益の侵害が生じる」という問題との関係では、おとり捜査によって創出される法益侵害の性質が考慮要素となります。

以上は、川出敏裕「判例講座 刑事訴訟法」第2版237~249頁の立場です。

おとり捜査は、司法試験と予備試験で合計3回出題されている頻出論点です(司H22,司R4,予H24)。正しい判断枠組みを身に付けましょう。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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