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学習1~2年目くらい(例えば、伊藤塾基礎マスター論文マスターの受講中又は受講終了直後)と、それ以降とでは、予備校答練の役割が異なると考えています。 前者の場合、自分の答案を客観的に評価してもらう機会という意味が強いです。これに対し、後者では、答案を自己評価できる状態で受講することが想定されていますから、自分の答案を客観的に評価してもらうという役割は弱くなります。 論点の網羅性については、問題研究をベースにして、論ナビなどの他の伊藤塾教材を回す過程で論点を補充することで足ります。すべての論点について問題演習を通じて勉強する必要まではないと思います。論ナビなどを回している過程で、問題研究で扱われて […]
まず、現行の司法試験論文式・予備試験論文式の採点方式は原則として加点方式ですから、ある規範について不正確な論述をした場合には、その規範に振られている配点を超えて積極的に減点されるということはなく、積極的に評価できる論述があるのであればその限りで加点する、ということになります。例えば、刑法235条の「窃取」が論点になっている事案において、「窃取」の規範:2点、当てはめ:6点という配点になっている場合に、「窃取」の規範として不正確なことを書いたときは、2点丸々落とすか、積極的に評価できる範囲で0.5点、0.7点というように部分点が付く、ということです。なので、書いたほうが良いです。 次に、司法試験 […]
これまでと同様、令和2年司法試験の単年度版の過去問攻略講座の販売も実施いたします。 もっとも、令和2年司法試験過去問の出題趣旨・採点実感が出揃うのが令和3年2月であるため、単年度版の過去問攻略講座の販売は3月頃になる予定です。 直近の司法試験過去問から先にやる目的は、「自分と本試験の距離及び最新の出題傾向を把握することで、科目ごとに自分が目指すべき理想の答案像を具体化し、今後の勉強の方向性を明らかにする」ことにあります。なので、この目的にとって必要な限度で出題分析と自己分析をすれば足りるので、ここで正解筋や書き方等について丁寧に分析する必要はありません。 直近の司法試験過去問を使った自己分析と […]
①は、③の最後の段階である「原告適格が認められる人的範囲の線引きをするための基準への当てはめ」で認定されることになりますから、原告適格の検討過程の最初に書く必要はないと考えます。実際、過去の出題趣旨・採点実感でも、①から先に書くようにと指摘されることはありません。そうすると、仮に原告適格の検討過程の最初に①を書くのであれば、②・③で被侵害利益として想定している利益を採点者に伝えるために書く、ということになります。 司法試験では、問題文や会議録において、原告ごとに、被侵害利益の内容について具体的に明示されています。そうすると、採点者としては、②・③では問題文や会議録で示した被侵害利益が対象になっ […]
憲法については、平成30年~令和2年の過去問の演習・分析・復習を繰り返すことで、㋐違憲審査基準の定立・適用も含めて「違憲審査の基本的な枠組み」を正しく使いこなすようになること、㋑個別法の仕組みを把握する力を鍛えること、㋒問題文のヒントに食らいつき、違憲審査の基本的な枠組みに落とし込む形で問題文のヒントを法的に構成し、その内容を文章化して答案に反映するために必要とされる姿勢・思考力・文章力を鍛えることが一番重要です。近年は、人権選択で悩ませる出題もなくなりましたし、同種事案からの出題に備えるために旧司法試験過去問をやる必要はないと考えます。 民法は、司法試験過去問だけでは出題範囲の1/3くらいし […]
平成29年から令和1年までの司法試験の民事訴訟法論文は、旧司法試験過去問との関連性が非常に強かったです。平成29年設問2・3は旧司法試験平成15年第2問、平成30年設問1は旧司法試験過去問平成22年第1問、令和1年設問1は昭和62年第1問、令和1年設問2は旧司法試験過去問昭和61年第2問の類題です。 もちろん、いずれの年度においても、司法試験過去問が参考になる問題もあるのですが、難しい問題(受験生間で差がつきやすい問題)で旧司法試験過去問が元ネタにされている傾向があります。 そのため、仮に旧司法試験過去問を元ネタにする出題がされた場合、旧司法試験過去問をやっていたかどうかでかなり差がつきます( […]
秒速・総まくり2021と秒速・過去問攻略講座2021をご購入いただき、誠にありがとうございます。 司法試験論文対策として予備試験過去問までやるべきかは、科目によって異なります。 憲法については、予備試験では、統治の分野が正面から出題されることがありますし、人権の分野では人権選択後の構成レベルのことが悩ましい出題もされます。これに対し、司法試験では、人権の分野から独立させた形で統治の分野が出題される可能性は極めて低いですし、近年は人権選択後の構成レベルのことで悩むような出題もありません。司法試験の憲法論文の対策としては、平成30年~令和2年の過去問の演習・分析・復習を繰り返すことで、㋐違憲審査基 […]
高橋宏志「重点講義 民事訴訟法」(有斐閣)は、司法試験・予備試験の論文対策をするうえで、非常に有益な基本書です。 私も、受験生時代から愛用していましたし、秒速・総まくり及び秒速・過去問攻略講座を作成する際にも参考にさせて頂いております。 もっとも、量の多さからしても、難解さからしても、通読するには不向きであると考えます。 また、今知っている基本概念・重要論点の理解を深めるために読むものであって、知識の量を増やすために読むものでもないと考えます。 いろんな学説を追い掛けて知識の量を増やそうとすると、勉強の方向性を間違えることになりますし、考える勉強をしなくなるため民事訴訟法の勉強がつまらなくな […]
今回の記事では、令和2年司法試験「民法」論文と司法試験過去問との関連性について説明いたします。 司法試験過去問との関連性は35%です。 . 設問1 設問1では、AB間の売買契約に基づく残代金債権5000万円を譲り受けたCから残代金5000万円の支払請求を受けた買主(債務者)Bが、引き渡しを受けた売買目的物である乙建物が防音性能に不備があることを理由に支払額を少なくするための法律構成を複数検討することが求められています。なお、「Bは、乙建物に住み続けることを前提に、…支払額を少なくしたいと考えている」ため、売買契約の解除(541条、542条1項)は検討対象外です。 平成26年司法試験設問1では、 […]
例えば、国が、生活保護世帯が激増したことに伴い、生活保護費拡充を目的として、所得税・社会保険料を大幅に増額したとします。この事実関係を前提として、会社員Xが、1月当たりの可処分所得が21万円から16万円まで減り、これでは「健康で文化的な最低限度の生活」を維持することができないとして、国家賠償請求訴訟を提起して、国家賠償法1条1項の「違法」を基礎づけるため国の立法が生存権の自由権的側面を侵害するとして憲法25条違反を主張した、とします。 「健康で文化的な最低限度の生活」の水準は、「その時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等」との関係で決定され、変化し得るという […]
民事訴訟法115条1項3号でいう「口頭弁論終結後の承継人」は、口頭弁論終結後、すなわち既判力の基準時の後に、①「訴訟物たる権利または義務自体の主体となった者」及び②「訴訟物たる権利関係またはこれを先決関係とする権利関係について当事者適格を取得した者」を意味します(高橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版690頁)。 ①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することについては、判例・学説上争いはありません。学説上争いがあるのは、①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することをどのようにして理論的に説明するのかという、理論的な説明の仕方です。これについては、「当事者適格の移転 […]
今回の記事では、令和2年司法試験「行政法」論文と司法試験過去問との関連性について説明いたします。 司法試験過去問との関連性は40%です。 司法試験過去問と共通しているのは、設問1(1)の本件計画変更の処分性における判例理論と法効果性の問われ方、設問1(1)の本件申出の拒絶の処分性における判例理論、及び設問2の現場思考問題における対処法です。 . 設問1(1)本件計画変更の処分性 ①出題の角度の共通性 設問1(1)では、農振法13条に基づく農業振興地整備計画の一環としての農地利用計画の変更(=本件計画変更)の処分性と本件計画変更を求める本件申出に対する拒絶の処分性が問われています。 このうち、前 […]
まず、ご質問に対する回答をする前提として、2項強盗罪における「利益」に関する議論を整理します。「利益の具体性」と「利益移転の現実性」は、厳密には、異なる論点です。「利益の具体性」は、2項強盗罪の処罰範囲を限定するために、抽象的な利益を2項強盗罪の客体から除外するための議論です。「利益移転の現実性」は、処分行為不要論を論じた後に、2項強盗罪の処罰範囲を限定する要請に基づき展開するものであり、具体的な利益であっても、「暴行又は脅迫」により現実的に移転し得る性質を欠くのであれば、2項強盗罪の客体から除外する、というものです。例えば、金銭債務の支払いを免れる利益には「具体性」がありますが、殺人により金 […]
秒速・過去問攻略講座2019を受講して頂き、誠にありがとうございます。 以下で、秒速・過去問攻略講座2021と2019の違いについて説明させて頂きます。違いは、4つございます。 1つ目は、秒速・過去問攻略講座2021では、年度ごとの解説に入る前に受講して頂く講義として、全年度・複数年度に共通する知識・書き方・思考方法を集約した「総論講義」(各科目2~5時間)があるということです(「総論講義」対応するテキストもございます)。 司法試験では、全年度・複数年度に共通する重要な知識・書き方・思考方法があります。そこで、まず初めに、科目ごとに、全年度・複数年度に共通する知識・書き方・思考方法を集約した「 […]
今回の記事では、令和2年司法試験「商法」論文と司法試験過去問との関連性について説明いたします。 司法試験過去問との関連性は45%です。 . 設問1 Bは、甲社の「株主」として本件株式発行の無効の訴え(会社法828条1項2号)を提起し、非公開会社では適法な株主総会特別決議を経ない株式発行は無効であるという考えを前提として、本件株式発行に係る本件決議2(会社法199条2項、309条2項2号)の取消事由を主張することになります。「非公開会社では適法な株主総会特別決議を経ない株式発行は無効であるか」という論点が問題になっているという点で、非公開会社における株主総会特別決議を経ない株式発行(株主割当て以 […]
「抵当権に基づく物上代位と債権譲渡の優劣」の論点については、①抵当権に基づく物上代位権行使の前提要件である「払渡し又は引渡し前」の「差押え」(372条1項・304条1項但書)と、②前提要件①をクリアした場合に問題となる物上代位権と債権譲渡の優劣の判断基準という2つの次元に分けて理解する必要があります。 最二小判平成10・1・30・百Ⅰ88は、抵当権に基づく物上代位権行使の前提要件である「払渡し又は引渡し前」の「差押え」の趣旨について「二重弁済を強いられる危険から第三債務者を保護する」ことにあると理解することにより、「払渡し又は引渡し」には債権譲渡やこれについての第三者対抗要件具備は含まれず、債 […]
「宴のあと」事件判決(東京地判昭和39・9・28・百Ⅰ60)は、民事訴訟においてモデル小説の出版によるプライバシー侵害を理由とする損害賠償請求(民法709条)の可否が問題となった事案において、プライバシー権を「私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利」と理解した上で、その侵害要件として、私事性・秘匿性・非公知性という3要件を示しています(渡辺・宍戸ほか「憲法Ⅰ基本権」初版226~227頁、小山剛ほか「憲法上の権利の作法」第3版99~100頁)。 この3要件は、「モデル小説」による「情報の公開」による「伝統的なプライバシー権」侵害が「私人間で問題となった」事案における「不法行為に基づ […]
論文対策としての問題演習には、2つの段階があります。 1段階目が、入門講座終了直後又は入門講座と並行して行う、短文事例問題集を使った問題演習です。この段階における問題演習の目的は、①インプット講座で学んだ知識の使い方(どういった場面でこの条文・論点が問題になるのか等)を確認する、②基礎的な読解・思考のコツを掴む、③全科目に共通する答案の型を身につける(法的三段論法に従った論述形式など)、④科目ごとの書き方の基礎を身につける(刑法では、客観的Tb⇒主観的Tb・・という流れで書く、民法では訴訟物から考え、それに対応する法律要件に即して論じるなど)といったことにあります。この段階では、初めのうちは、 […]
今回の記事では、令和2年司法試験「民事訴訟法」論文と司法試験過去問との関連性について説明いたします。 司法試験過去問との関連性は50%です。 平成29年から令和1年までの3年間は、司法試験過去問よりも旧司法試験過去問との関連性が強い出題が多かったのですが、令和2年司法試験「民事訴訟法」論文は司法試験過去問との関連性のほうが強いです。 また、分野・論点レベルでの再度の出題可能性に備えるためだけでなく、「司法試験特有の出題の角度」と「書くべき一般論の範囲」を学ぶ上でも司法試験過去問「民事訴訟法」は非常に重要であるといえます。 設問1「課題1」 設問1「課題1」では、「賃貸建物の明け渡 […]
今回の記事では、令和2年司法試験「刑法」論文と司法試験過去問との関連性について説明いたします。 今年の刑法論文は、全体的に司法試験過去問との関連性が強いです。3/5くらいが司法試験過去問と共通しています。 設問1 設問1では、①債権者Aから500万円の債権の回収依頼を受けた甲が、②債務者Bから債権を回収する際に、債権額が600万円であると嘘をついた上、支払いをしなければBやその家族に危害を加える旨を告知することでBを恐喝したところ、③Bが恐喝により惹起された畏怖に基づき600万円の交付意思を形成し、600万円を甲名義の預金口座に送金した、という事案において、甲のBに対する恐喝罪( […]
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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